食熱通信vol.22

Published by

食の熱中事務局

on

2026年1月27日

***************************************

皆様4月からの第6期の内容がほぼ固まりました! 実習も次々開催が決定されています。大好評の食の熱中小学校、ぜひ早めにお申し込みください!

入学・継続のお申込みは→https://shoku-no-necchu-6.peatix.com

また、第6期の授業2は、皆様お楽しみのガーデンパーティです。このパーティは、第6期生の歓迎会も兼ねますが、生徒の方々は生徒以外でもパートナーおひとり様をご同行いただけます。まずは6期の申し込みをしてから、パーティのお申込みをお願いします。申しこみコメント欄に同行者のお名前・関係をお書きください。

お申込み→https://docs.google.com/forms/d/1cnKbqotYc3i22cQvmOc7jgCJWZSkkBlaAICn_u8hC1c/edit

座学: 2025年12月17日(水曜) 18:30 ~ 21:00 会 場: ユビキタス協創広場 CANVAS

*テーマ:「世界と日本のローカルを繋ぐ未来の翼
           “ジェイキャスエアウェイズ”の共創する地域創生」
*講 師: 梅本 祐紀 先生(株式会社ジェイキャスエアウェイズ 共同代表取締役)

株式会社ジェイキャスエアウェイズ(JCAS)の梅本です。現在、事業準備中の航空会社で、来年の就航に向けてさまざまな準備を進めております。本日のご縁は、私が柏原校長の『ニッポン美食立国論』を拝読し、非常に面白いと感じたことがきっかけです。今日ご紹介する事業とも親和性が高く、ぜひお話ししたいと思っていたところ、社内の客室乗務員が柏原校長をご存じで、今回のご縁につながりました。
現在準備中のエアラインは、関西空港をハブ空港とし、最初は関空―富山、関空―米子の2路線からスタートします。就航開始から5年で機体数を7機まで増やし、15路線ほどをつないでいく計画です。残念ながら東京からは飛びません。日本の航空は羽田に集約されており地方へ行くには便利な反面、関西からは行きづらい地域が多いのが現状です。地方が盛り上がるためにはやはり新幹線や航空路線といった交通インフラが不可欠で、我々はそうした不毛地帯を担おうと考えました。

機材はATRという、エアバスグループに属するフランスとイタリアの合弁会社のターボプロップ機です。プロペラ機というとYS-11のイメージを持たれる方もいますが、ATR72-600は非常に安定しており安全性も高く、安心して乗っていただけます。中型ジェット機の約半分のサイズの72名乗りでその分経済性が高く、大手航空会社が飛ばしにくい地方路線でも成立します。高度は最大8000メートル程度のため耳鳴りもしづらく景色も楽しめる、体に優しい機体です。運賃も富山・米子ともに平均1万1000円を目指しており、既存の交通手段と比べても利用しやすい設定にしています。
富山には海の幸があり、山に入ればジビエも獲れる非常に恵まれた土地で、食通の方ならよくご存知でも一般の方やインバウンドの方にはまだまだ知名度が高いとは言えません。関西から富山へは、サンダーバードで敦賀まで行き北陸新幹線に乗り換えて行って、平均3時間弱かかります。関空から空路なら保安検査の時間を含めてもおよそ60分で到着しますので、関西から富山、さらには北陸が一気に近くなります。また富山空港は、富山県人の方だけに便利な空港ではありません。氷見方面やその先の奥能登へ抜ける際にも非常に使い勝手がよく、能登空港も羽田との往復しか飛んでいませんので、富山空港の活用は大きな意味を持っています。他には新潟の妙高。ここはシンガポールのペイシャンスキャピタルグループの2000億円かけての開発が決定しているエリアで、実は東京からよりも関空から富山経由で行った方が近いという立地にあります。富山空港から南へ下れば飛騨高山や古川といったエリアにも1時間強で行くことができ、北陸3県に加えて長野や新潟の一部までを含む広いエリアが、富山空港を起点に非常に行きやすくなります。さらに隣の山陰、我々は関空から米子空港にも路線を飛ばします。米子空港は松江や出雲、境港に近く、横に広がる山陰エリアを観光する拠点として非常に便利な場所です。関西から山陰へは電車でも車でも4時間程度かかってしまいますが、これを約60分で結べるようにする価値は非常に大きいと考えています。こうしたルート開発をしっかりやっていくことも、地域の観光や食を支えるために非常に重要だと考えています。

このように路線を引けば人の流れは作れますが、それだけでは地域創生としては不十分です。その先のコンテンツと人流を結びつけることが重要であり、我々はエアラインで人流を作りながら、地域の方と一緒での地域創生までコミットしていくことを特徴としており「日本のローカルがもっと活きる路を。」というビジョンを掲げています。
インバウンドは急増していますが、地方にはほとんど足を運んでいません。2024年の訪日外国人は3700万人、今年は4000万人を超えると言われていて、政府も含め2030年には6000万人まで増やそうとしています。東京や大阪、京都はオーバーツーリズムが話題になる一方、富山や山陰では外国人をほとんど見かけません。理由は明確で、行きづらいからです。しかし日本には世界に誇れる魅力的な地域が数多くありますから海外にもしっかり発信をしていこうと考えています。富山県も、立山連峰や雪の大谷、高岡など、食と観光が一体となった素晴らしい地域として、海外誘客に力を入れています。
現在、富山を訪れる外国人は台湾、韓国、中国が中心ですが、雪が人気で夏場は少なく、食のツアーなどで補える余地があります。統計でも訪日リピーターの40%が、特にアジアのリピーターでは90%が地方に行きたいと出ています。関空はアジアからの乗り入れが多い空港ですのでこうしたリピーターがターゲットになるのですが、現状は、富山は宿泊人数ベースで年間25位の26万人しか海外からいらっしゃらず、さらに山陰は43位〜46位で8万〜10万ともっと少なく、関空経由で来日する外国人のうち地方に足を延ばすのはわずか7%に過ぎず、ここに大きな成長余地があります。
羽田も含め地方便が減っている背景には、航空業界の構造的な課題があります。フルサービスキャリアのANAさんやJALさんは、経営の自由度は高いものの大量輸送が前提で、需要の小さい路線は難しい。一方、オリエンタルエアブリッジさんや天草エアラインさん、JACさん、また既存の地域航空会社は小型機の強みはありますが、資本構成上自由な路線展開が難しい。我々は民間資本で小さい機材を使い、事業性の高いローカル単独路線を展開していきます。未活用の地方空港は全国に多く、小型機でこそ成立するビジネスだと考えています。

インバウンドを含む観光が15兆円産業になっていくこと、訪日外国人6000万人目標に対し順調に伸びていること、関空が4000万人までの受け入れ空港に拡大していくこと、富山に関しても民営化を予定しているのでそのタイミングで富山がまた空港から盛り上がること、こういった点が大きなチャンスと捉えています。また日本はあまり活用されていない空港が90近くあり使うことが非常に重要で、小さい機材でないと利益が取れませんのでそこは我々がやっていこうとしています。需要予測ですが。距離が離れるほどエアラインの利用率は上がっていきますので、そこを航空を分担率という見方で見ております。現在関空周辺エリア大阪と富山空港周辺エリアに限定した2地点の人流は大体1日2000人ぐらいです。所有時間が200分を切ると2割ぐらいの方が空路を選びますので、そこで需要が取れるとみています。我々の機材では搭乗率60%後半ぐらいが予測でき、60%を超えると大体黒字になってきますので路線展開が可能と見ています。インバウンドに関しては、富山県は直近で年間の宿泊人口が36万人ぐらいですが、関空からはその内11%、4万人です。全国平均だと大体3割弱ですので富山は関空からは人が取れておらず、これは交通の便が理由ですので、そこを我々が1時間で結ぶことでもっと使っていただけるようにしていきます。その他、中部が特徴的で、セントレア空港に着いて陸路で上がっていき飛騨高山等を観光してから富山県に入るルートが特にアジアの方に人気で、4割います。4時間かけて富山に来るぐらいなら関空から1時間でいらしていただければ非常に便利ですのでここも需要の転換が取れ、現在4万人のインバウンドを5倍ぐらい伸ばす余地はあると予測しております。あとは既存の航空会社さんが飛ばしていない路線を展開していきます。よく、JCASは収益が取れるのかと聞かれるんですが、我々が展開する一番小さい市場事業規模で見ても7機15路線で120億円の路線の需要はあると見ておりますし、そのもう1つ上の、関連する就航先の観光やインバウンドの事業まで含めると1兆円の産業になる可能性があり、さらにその先まで見ると18兆円ぐらいのマーケットになっていきます。交通手段と、あとは食といったところを結びつけて実現していきたいということです。

現在の事業の進捗ですが、1号機のリース契約は完了し、富山県とも連携協定を締結しました。出資は受けていませんが事業開始前にも関わらず連携という異例の形で強力な支援をいただいています。また、富山・山陰の、JリーグとかB.リーグにスポンサーを出しているような地元の顔役の企業さんからもご支援を受けています。ひとえに人流作り、特にインバウンドの人流作りに対する期待値が非常に大きいです。資金調達は直近で4億円、累計で約11億円です。就航までには約46億円が必要で、まだ道半ばです。1億円、5000万でも出してもいいという方がいたら、ぜひ後で連絡をいただきたいです。エアトリとも資本・業務提携を行い、チケット販売や旅行商品の共同開発を今後進めてまいります。

ここからやっと熱中教室に関係する地域創生の話になります。10月にモニターツアーを実施しました。富山や山陰のために飛行機を飛ばすわけですので、富山に行ったら何を楽しんでもらえたらいいのかという地域の理解を深めるために、地元の方、DMOさんやDMCさん、行政の方含めて一緒にいろいろ考えました。高岡から南の、レストラン L’évoのある利賀村のもう少し北側の井波などのエリアの中心に行きました。最初はガストロミーツアーを考えましたが、もう結構いろいろな方々がやっているということで、もう少し上流の、富山の自然から知っていただくということになり、山から海へ、水が澄む富山の食と文化の物語を知っていただくことにし、ジビエやクラフトビールを楽しんでいただきます。また文化体験も重視しています。井波は木彫で有名な町で、例えば焼けて今作り直しをしている首里城は、井波の木彫職人さんが駆けつけて今一緒に作っていたりと、日本で一番木彫職人がいることを普通の人はあまり知らないのでお話すると喜んでいただけます。また、ウィスキーの樽も日本で2社ぐらいしか作れないらしいのですがそのうちの1社が井波にあり、三郎丸蒸留所なども使っているそうです。地元の人ってそういうのを全然すごいことだと思ってないんですよね。ウィスキーの樽の工場がありますけど、あれ何ですか? と聞くとやっと教えてくださって、それってすごいコンテンツですよね、僕らみたいな外の人間からしたらそれだけですごいですよと伝えると、これコンテンツになるんですか? と言われるんですよね。なりますと言って、普段は樽工場の案内などしていないのですが我々のためにツアー中に特別にご紹介いただいています。南砺市も木彫の町で、ここの瑞泉寺は日本で一番凝った木彫のお寺と言われています。普段は夜の拝観はできないんですが、ナイトミュージアムができるということでスイッチを付けてもらったらすごく綺麗にライトアップされるんです。でもこれ年に1回しかやっていませんと言う。それは非常にもったいないのでこれはツアーでやりましょうということでお誘いして入れてくださいました。ディナーも特別メニュー名義別を作っていただいたり、光徳寺は棟方志功やバーナード・リーチとかで知られる器ですね、そういうところの紹介もされて、掘ってみると感動できる体験がたくさんありそれを我々の方でつながせていただき、射水の方でも魚のワークショップをやってみたりと大変楽しんだ1泊2日を過ごしていただきました。

ちなみにこれは我々企画のモニターツアーで、無料で募集しました。4組8名、特に広告費もかけずにPRタイムスに出したところ、いいねの数が急に2000ぐらい付き社内ですごくびっくりしました。結果30組ほどの応募がありまして、その中から、我々がこれから開発する旅行パッケージに参加してほしいと思う、ターゲットとなる方を8名選んで参加いただきました。そのターゲット層というのは正に今日ここにいる皆様がそうでして、知的探求心が非常に強くて、食に興味があって、食と文化、器などそういうところをちゃんと理解して楽しんでいただける、そんな価値観を持った方を国内外からお呼びしたいということで実施しました。ツアー中、インバウンドで木彫の職人の方に半日弟子入りした方はコップ作りをしたり、食は地の物を取り揃えたメニューを作ってそこに秘められたストーリーや食材についてしっかりお話いただくことをいたしました。光徳寺にもお連れしました。アンケートから非常に高い満足度を得られましたので、これを今後の旅行代理店さんとの販売パッケージにしていきたいと考えています。エアライン事業は行きと帰りのチケットを売って終わってしまいますが、今非常に伸びているのが旅中需要です。外国人は日本人の約7倍、旅でお金を使います。地方創生はやはりお金を落とす経済圏を活性化していく必要があります。地方の人は、非常に良いコンテンツをたくさん作っているのにそこに連れてくるための手段やマーケティングが弱いという特徴があります。そこをお呼びをしていこうと考えています。特に海外の方へのアピールが増えていて、我々が26万人のお客様をお運びすると90億円の経済効果、これが伸びていくとさらに大きな経済効果が作れますので、ここで一緒に作っていくってことが大切だと思っています。我々1社では無理な話で、5つのファクターが必要です。富山に行こうとする海外の方は訪日が3回以上の方です。最初の1回目、2回目はメジャーな都市に行き、混んでいたり値段も高いとわかると3回目以降はもっとゆっくりと日本を体験したいと思う方が結構いることが統計上でわかっています。ただ、どこに行くかとなると選ぶのが難しい。フランスに行ってパリに行き次はふらんすパリらしい田舎に行こうと思ってもよほどのフランスパリ通じゃないとわからないのと同じですね。そこで必要なのがファクター1のトラベルエージェンシー等です。日本の地方でいいところは富山や山陰だということをトラベルエージェンシーなどと連携してインプットしていこうとしていて、先々では海外とも提携を進めていきます。そうして旅前から富山を目的地にしていただき、ファクター2の1次交通は我々のエアラインに乗っていただいて、その先のファクター3は我々が連携をしていく2次交通。今後ヘリとかも手掛けていきますので、ヘリで空から立山を楽しんでいただいたり利賀村へもヘリで行くとか、そういうことができたらいいと考えています。そしてファクターの4と5は、ご紹介した地域のコンテンツ、宿泊になってまいります。これは我々1社ではできないので一緒にやっていただけるところを口説いて回っています。
地域創生の取り組みに関する我々のプロジェクトを3つお話ししますと、1つ目は先ほど紹介したツアーで、2つ目は海外の方向けのサービスです。エアライン会社はQRタッチでチェックインできるので旅行前からアプリを入れていただき旅する人との接点が作れます。これを活用し、目的地に関するその人向けのキュレーションした情報や、予定変更となった場合に別の選択肢を示すようなコンシェルジュサービスを海外の方向けも含めて考えています。移動、チェックイン、フライト中等、お客さんとの接点はいっぱいあり、これらを1つ1つ旅とつなぐことで、富山に行ったら非常に楽しい体験、本物の体験ができたというのをプロデュースしていきたいです。3番は、僕の夢でもあるんですがやっぱりオーベルジュを作りたいですね。海外の方は日本の地方で宿に困ることが多いんです。日本人だとビジネスホテルでも我慢もしますが、海外の方は本当に日本を楽しみたいと思って来ているので、そこもチャレンジで手掛けていきたいと考えています。旅前のところで代理店と組んで目的地は富山を設定してもらい、我々の飛行機の中で目的地への期待値を上げる施策をどんどんやって、移動中もストレスフリーで、地元の誇る文化、体験、食をわかりやすく伝えて、最後オーベルジュでしっかり楽しんでいただく。このループをしっかり回していきたいと考えております。就航から4年で黒字化し、売上約96億円、利益7億円規模を目指します。将来的には国際線にも挑戦し、2030年にIPO、時価総額200億円以上の会社を目指しています。まだ準備段階ですが、日本のローカルを活かすために、夢を大きく持って事業を進めてまいります。ご清聴ありがとうございました。

実習ツアー報告 ・静岡県西伊豆ツアー 稲葉慶一郎さん

*******************************************************************************************

事務局より:

地域と人とのつながりを育てていくうえで、移動手段の充実はとても大切だと感じます。価格の面でも、移動にかかる時間の面でも「行きやすい」と思えることが、関係人口づくりの第一歩になるのではないでしょうか。

そう考えると、今回の梅本先生のご講演は、これからの地域創生を考えるうえで多くのヒントを与えてくれる内容でした。日本には、ハブ空港から基地共用空港まで含めると、実に97の空港があるそうです。極端な話ですが、単純計算をすると4,656通りもの路線を描くことができます。もちろん現実には経済性を考える必要があり、実際に成り立つのはその10分の1、あるいは20分の1かもしれません。それでも、想像が広がる数字です。

「ちょっと旬の○○を食べに、○○町まで行ってみよう」。そんな気軽な発想で旅ができたら、とても愉快ですよね。さらに、ドローン技術が進化すれば、その地域でしか味わえなかった食材を、高い鮮度のまま消費地へ届けることも可能になります。そこで出会った味がきっかけとなり、「今度は現地に行ってみたい」と思う人が増えていく、そんな未来も想像できます。

移動手段と技術の進歩は、地域をぐっと身近な存在にしてくれます。その積み重ねが、新しい関係人口のかたちを生み出していくのではないでしょうか。

「食熱通信第22号」発行:食の熱中小学校事務局(一般社団法人熱中学園内)

公式サイト:https://shoku-no-necchu.com/

Mail to:hello@shoku-no-necchu.com

コメントを残す

Previous Post